中川家ブルース

 中川家という素晴らしい漫才コンビがいる。彼らはM1グランプリという漫才師のトーナメントの初代王者でもあり、多種多彩な内容で聞いている人たちを喜ばせた。よくしゃべり人をつかむのがうまい弟とネタづくりともっぱら弟を目立たせる立場に徹した兄のコンビが大阪独特の庶民的な話題のネタを披露してくれた。このコンビの兄の方がギターを弾いた。かなり楽器も好きなようで結構上等のアコースティックギターを持っていた。そして実際に彼らが演奏をネタにしたものにブルース形式のものがあった。私の知る限り2タイプの演奏があり、一つは沿線ブルースと呼ばれるものと、もう一つは新世界など大阪独特の文化満載の土地に生きるおっさんのブルースがあった。ブルース自体はどんな曲でもほぼコード進行が同じで、ハ長調で言えば|C|F|C|C|F|F|C|C|G|F|C|C|というほぼ3コードで構成される。そしてこの曲に合わせて延々とギターのリフがバックに入り曲が続いていく。終わりがあるともないとも言えず、演奏者が満足するまで演奏が続く。沿線ブルースの場合は、例えば大阪の御堂筋線の駅名毎にちょっとしたエピソードが語られ、延々と始発駅から終わりの駅までそれが歌い続けられた。また大阪のおっさんのブルースでも新世界のおっさんのありそうなしゃべりや生活が延々と歌で語られていく。そして歌い手の弟がほぼ満足すると兄のギターがそれに合わせて終わるというスタイルだった。この演奏形態を聞いていると、何となく河内音頭とかぶるような気がしたが、実際アメリカのブルースもいわばミシシッピー音頭とも言えるかもしれない。

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