「同僚の近くに家を建てる」は後々大問題

 まだ会社に入って間もない頃、私と年齢の近い人の間で職場結婚が流行っていた。こうした人たちはお互いに仲良く、同じ団地などに家を建てるようにしていた。一見同じ会社同士で勝手もわかっており、大変家同士も仲が良くてうらやしいような気もした。しかしだからといって私はこうした同僚が近くに住む場所に家を建てるのは極力避けるようにした。理由は至極単純で、もしお互いの家庭に何らかの違いが発生するとそれが「ねたみ」や「うらやみ」を生み出す事になる可能性があると思ったからだ。同じ年代で結婚すると、各家庭では同じような事が起こる。子供ができると、あそこの子供は良い服を着ているとか、学校で頭が良いとかいう噂だ出てくる。そうすると違う家庭でも負けていられないと、良い服を買ったり、塾へ通わせ少しでも成績が上がって欲しいと思うようになる。またある家庭が1ボックスの大型のキャンピングカーを買って毎週キャンプに行くのを見ていると、自分の家でも1ボックスの車を買いたいと、少ないボーナスで車購入を画策するようになる。さらにそこそこの期間が経って旦那さんの出世に差がついていくこともある。あそこの旦那さんはもう課長になったとか部長になったとかいって、奥さんが自分の家の年収に差がついたことに落胆する。それを聞く旦那さんは、ただでさえ会社で出世が遅れていることにがっくりしているのに、家に帰っても奥さんに嫌味を言われるようでつらい思いをする。これがまだ普段顔を合わせない場所にお互いが住んでいればこんな嫌な思いを感じることは減る。こんな未来が頭に浮かび、私は同僚とは離れた場所に家を建てた。

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