65才で初めてのブルーカラーの経験

 日本の工場で働く場合ホワイトカラーとブルーカラーの違いが少ないが、それでも1年中現場で働くブルーカラーと基本机の上で考えた新たな製品・製法を具現化していくホワイトカラーはやはり職種的にもメンタル面でも違う。私は世間ではホワイトカラーに区分されていたが、入社時から45才ぐらいまでは現場に入って自分が考えたものづくりの実践を行ってきた。しかしそれは自分のやる事が本当に現場でうまくいくかを確かめるためのことで、あくまで自己実現の一過程だったと思う。65才を越えて新しい会社に入った。ここでは自己実現ではなく、会社の歯車として決められた同じ仕事を毎日繰り返し行う。あらためてブルーカラーという仕事はこういう仕事だということを身をもって体験した。そして頭で考えるのと、体験してみるのとでは大きく違うことを実感した。仕事をしていると色々なアイデアや改善案が湧き出てくる。ホワイトカラーであった頃の自分なら、これをどうやってシステム化すれば良いかなどと考えた。しかしブルーカラーとして採用されている現在は、アイデアを考えたとしてもそれを実現することは立場的に困難だし、かつ一介のアルバイトの作業員が提案することにどれほどの人が耳を傾けてくれるのかなど、考えれば考えるほど意味がないことのように感じてしまった。これがおそらく若い頃に感じていた現場の中でのブルーカラーとホワイトカラーの心の持ちようの違いだろうと改めて感じた。ともかく元々の目的が「健康維持」であり、決して「会社の発展」ではないので、そこは割り切って働こうと思った。

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