昔のメンバーとの再会2

 マレーシア駐在時に、日本の古参の方よりトルコの会社のAさんという方から会いたいという話がある旨を受けた。トルコの会社は私が入社して5年目ぐらいの時に、初めて技術援助契約を結んだ会社だった。初めて私の会社で生産している製品と同じタイプの製品を生産したいということで、生産を開始するための基本的な技術を教えて欲しいという申し出だった。当時私の属する日本の会社はトルコのこの会社の親会社と緊密な関係を持っており、我々のトップから「包み隠さず教えて上げなさい」という指令を受けていた。そんなことからこの会社から多くの技術者が日本に来たり、逆に日本からトルコの会社へ多くのメンバーが行ったりしていた。Aさんは当時上流工程の技術者で大変熱心に日本の技術を学ぼうとしていた。そしてある出張時には丸1ヶ月近く日本に滞在して技術を学ぶ頑張り屋さんだったので、私も彼をよく覚えていた。それから20数年して彼はマレーシアへやってきて私と面会した。彼の要件は日本の販売の仕方はモラルに問題があり、このまま行けば貿易委員会に提訴しないといけないかもしれないという事だった。私と営業部の人間でその誤解を解くための話をしたが、結局彼との溝は埋まらなかった。それでも彼はどこかに我々の会社に対する愛情を感じていて、「どうかこれをただの警告ととらえずに真剣に向き合って考えてほしい」という内容を繰り返し繰り返し我々に伝えてトルコへ帰っていった。この件は最終的には欧州の貿易委員会に対して公式に説明を行い問題解消したが、思えば事前の彼の真剣な警告で助けられたとも言える。持つは古き友か?

1980年代に日本へ来たA

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