就職を決める頃の話
いよいよ就職を決めねばならない頃になり色々悩んでいたが、最終的には1社に決めた。その理由は私自身学生結婚をする予定で、私の実家と家内の実家の間にある地域で就職したかったので、その地域で私の学生時代の専攻した学部に関係する会社を探していた。そして教授とも相談してある会社の人と会うことになった。その方はWさんと言い、技術関係の統率をされている偉い人だった。正直な所結構緊張していたため、どんな話をしたのかははっきりと覚えていないが、「ともかく自由に仕事をさせてあげる」という点を非常に強調されておられた。また「会社のトップはNさんという人だが、この人は法力を持っておられる人だ」と言っておられた。法力の意味はあまりよく理解できていなかったが、何か超人的な能力でビジネスを拡大してこられた方らしいことはわかった。技術の統率をされるような偉い人が超人的な能力があると言うからには、この会社のトップである社長はすごい人なのだろうと思ったのをはっきりと覚えている。その後はサラリーマンお馴染みの接待コースで、祇園のステーキ屋へ行ってうまいものを一杯食わせてもらい、うぶな学生だった私はころっとやられてこの会社に忠誠を尽くすことになってしまった。ただ入社面接でお会いした社長のNさんは確かに何か特別なものを持っているすごい人だと言うのは嘘ではなかった。こうした経緯で40年間この会社にお世話になる事になったが、入社後Wさんとはほとんどお会いすることもなかった。法力の話とステーキは有難かったが・・・。

1982年就職前