クロスロードという映画
今から30年ぐらい前にクロスロードという映画を見た。映画タイトルのクロスロードの名前は、黒人ブルースマンのロバート・ジョンソンが作曲したブルースの名曲で後にクリームを始め多くのミュージシャンがカバーしている曲から来ている。物語はクラシックの名門ジュリアード音楽院に学ぶ若い白人青年がブルースに傾注していく。そしてたまたま老人ホームでロバート・ジョンソンの相方のウイリー・ブラウンという老人に出会い、本物のブルースを教えて欲しいとお願いをする。彼は老人と一緒に南部へ行き黒人社会の本物のブルースに接する。最後にロバート・ジョンソンがブルースマンとしての名声を得るために悪魔と取引したと言われるクロスロードに立ちそこでギターを弾く。すると悪魔がやってきて取引しようと言う。そしてその取引とはギターバトルに勝つことだった。バトルが始まり、相手の天才ギタリストのテクニックにほぼ負けたかという状況になって、白人青年は自分がジュリア―ノ音楽院で学んでいたクラシックの曲を演奏し、その驚異的なテクニックを持ってバトルに逆転することになる。この映画において私はブルースについて改めて教えられるものがあった。40~50年前のアメリカ社会では多くの黒人が人種差別を受けたが、その代表的な南部の黒人社会の暮らしを垣間見ることができたし、自分の命を捧げてまでも一流のブルースマンになりたかったロバート・ジョンソンというミュージシャンの生き様を知った。また最後若者がギターテクニックで勝ったのはブルースではなく、皮肉にも学校で習ったクラシックのテクニックであったのは見事なエンディングであった。
