使う側から使われる側へ
長らく勤めた会社を定年退職し新しい会社に再就職した。長らく社会人を経験してきたので、仕事に関するモラルのようなものはあまり変わりはないが、仕事に関する意欲や期待は大きく変わった。前の会社では40年近くの勤続中、最初の15年ぐらいはどちらかと言うと「人に使われる」立場であり、その後の25年はいわゆる管理職と呼ばれたり経営層と呼ばれるような「人を使う」立場にあった。一方新たに入社した会社では一から仕事を教えてもらいながら覚えていくわけで、「使われる」立場にまた戻ったことになる。前の会社では将来の自分自身の成長に対する夢や目標もあったので、「使われる」ことは次のステップへの期待を込めた一時期ととらえていた。しかし新たな会社においては、今後の飛躍的な成長への期待などは当然ながらないので、成長を続けるためのがんばりや努力に関する考え方は全く異なっていた。まず時間内に指示された仕事をいかに正確に多くやれるかについてはできるだけ会社の期待に沿えるよう努力しようと思った。しかし仮に期待に沿えない結果しか達成できなくてもある面仕方ないと思うし、以前いた会社のように残業を行ってでも最後まで完了しようといった責任感は持たないようにした。思えば以前にいた会社の後半25年は、「仕事を通じて会社の発展に何らかの寄与をしたい」と考えていたし、その寄与なり貢献のために皆に理解を求め賛同者になってもらいながら仕事の質や中味を良くすることに傾注してきた。しかし今は「雇われるアルバイト社員」なので、足を引っ張らないよう間違いない仕事をする以上の努力はしないでおこうと思うようになった。

人を使う→人に使われる