カルロス・ゴーンの生活

 カルロス・ゴーンは潰れかけていた日産自動車を立て直した功労者である。残念ながら後年不透明なお金の使い方で会社を追いやられることになったが、ルノーから派遣され次々と会社を立て直していく姿はヒーローのような感じで、その経営手法については色々な本でも紹介された。彼は最初COOとして執行権限を持って種々の改革を行った。日本の会社の悪癖である系列会社との強い関係を断ち切り、地元からどれだけ懇願されても不採算な工場はドライに閉鎖することを行い、無数にあったベンダーを競争力のある会社だけに絞り、そして目標はコミットメントという形で有言実行させた。なかなか日本人の経営者だとこうした強引とも見える手法は使いにくいが、彼は他社から来たこと、外国人であり日本の慣習に染まっていなかったこともあり、大胆に改革を進めていった。そして10年ほどで潰れかけていた会社を「普通の会社」にV字回復させ、ついには全権限を掌握するCEOに上り詰めた。この時期の彼は日産本社のある日本と当時の日産の稼ぎ頭だったアメリカと日産の大株主のルノーのあるフランスの3拠点を行き来し重要な判断をそれぞれの地区で行っていたそうだ。この日本・米国・欧州3箇所を1ヶ月のうちに行き来することがどの位大変であるかは、実際にそれぞれの地域で暮らしたことのある私から見れば容易にわかる。日本と欧州、欧州と米国にはそれぞれ7~8時間の時差があり、一般の人なら時差の解消に1週間はかかる。多分彼は常に時差の解消に悩みながら重要な判断を続けていたものと思う。今は表舞台から消えたが、少なくとも体には良い生活を送っているのだろう。

世界3ヶ国生活をしていたカルロス・ゴーン

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