青春時代のファッション4、ずだ袋
4番目は服装でなく、いわゆる小物でずだ袋というカバンである。肩からかばんを垂らすというのはいつの時代もあるが、当時のずだ袋というのは女性のハンドバッグのような美しいものではなく、既述のアーミージャケットに合わせて軍人が使うようなモスグリーンの袋である。主にはアーミージャケットとペアで使う人が多かったが、アーミージャケットを着ずに使うようになった。今から思うと随分汚い袋に教科書を入れて授業を受けに行ったものだと思うが。今の時代にリュックサックが流行るように、今も昔も方から下げて重い物をできるだけ負担なく持ち運ぼうとするカバンが流行ったが、その一つとして当時流行った。しかし私の中でこのずだ袋のかけ方に独特の思いがあった。それはこのずだ袋は「必ずたすき掛けにして肩にかける」というものだった。よくハンドバッグは一方の肩から垂らして掛けるが、このずだ袋の場合は、種々の必需品を一つのバッグに収めているので、絶対に肌身離さず持っている必要があった。元々軍隊においても兵士が自分の生死を賭けて肌身離さず持ち歩く大事なものが入っている。したがって誰にも取られることなく、たすき掛けにしておく必要があるという訳である。この話で思い出すのは京都御所で警察の尋問を受けた時の話だ。当時私は大学浪人中である予備校に通っていたが、予備校の帰りに御所を歩いていたら、急に警察に呼び止められ「カバンを開けなさい」と言われた。しかしそんな理不尽な要求に負けられないと思い、「何故ですか?理由を教えてくれ」と逆らった。中味はただの参考書だが、大事なずだ袋を安易に取られてはいけないぞ!

たすき掛けで使う「ずだ袋」