M&Aを考えた地域2:トルコ

 我々がM&Aについて喧々諤々の議論をしている最中に、あるトルコの会社から面会の申し出があった。トルコというのは位置的にはアジアと欧州の境目にある場所になる。元々トルコは親日国でこの会社とは昔から付き合いがあった。この会社の親会社のトップと私の勤める会社の昔のトップが付き合いがあったことから、私の担当する仕事においても技術援助などを行ったことがあったし、また当時知り合ったメンバーとはその後も交流が断続的に続いていた。私がマレーシアで働いていた時、トルコの会社のメンバーがやってきた。内容は結構複雑な話で、我々がマレーシアから欧州へ輸出している製品が不当に安く売られているといういちゃもんだった。勿論それが誤解であることは種々の証拠を持って説明できうることであったが、せっかくの機会だったのでM&Aの候補として一緒に仕事をやることは可能かどうかを提案した。元々その会社の生産技術は我々が教えたものだった。私自身は相手の会社の買収や一緒に合弁会社を立ち上げるなどの大規模なM&Aよりも、ある分野に限定して小さい規模の製品の生産・販売から始めないかという提案を行い、相手の幹部との面談も行い、かつ我々の会社内のトップとの戦略会議でも提案を行った。しかしさらに種々のさぐりを入れていくうちに、相手が二股をかけて交渉をしていることがわかり交渉に対して二の足を踏まざるを得ないようになった。我々の会社の中での議論としては、当時も今も含めてトルコが中近東に近く、政治的に不安定な状況にあることが問題と考えられた。戦争のリスクを言われれば返答のしようもなかった。

アジアと欧州の狭間、トルコに拠点を持つか?

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