不休災害と休業災害では大違い
昔製造会社で働いていた時に休業災害を経験した。当時の安全衛生法によれば、災害の中で不休災害と休業災害に区分されていた。不休災害と言うのはある時災害を起こしても、その後特に会社を休むことなく仕事を続けられるような軽い災害を意味していた。この不休災害の中でも特に軽いものは「赤チン災害」と呼び、災害にカウントされないレベルのものもあった。このように不休災害は一応カウント上災害に位置付けられるが、災害と災害でないものの間のような扱いで、安全衛生を管轄する事務部門や管理者の人はこの違いに注目していた。一方休業災害はいわゆる「大事故」に位置するゆゆしき災害であり、会社としてもその原因を明確にして再発防止に向けての抜本的な対策を取らねばならない類の災害であった。ある時私の職場でやけどのような災害が起こった。本人も少し熱かったが少し手の甲が赤くなった程度だったので、その場は「赤チン災害」ということで話は収まった。ところが翌日になって、怪我をした本人が手の甲の腫れがひどくなってきたので医者に行くと、医者から重度の火傷で皮膚移植が必要だということになった。それを聞いた事務部門の課長が私の所へ飛び込んできて「すぐに原因と対策について調査の上文書を出すように」という通達をしてきた。たしかに休業災害というものはそういう扱いをするものかもしれないが、昨日までこの事故について十分話をして内容も理解しているはずの人が、不休災害から休業災害に扱いを変更された瞬間に手の平を返して大騒ぎする様に何か非常に違和感を持った。本当は手続きより本人の怪我を心配するのが優先なのになあ・・・

休業認定されると急に大事になる労災