M&Aを考えた地域4:ポーランド

 M&Aを考える上で、他社を買収する方法(いわゆるM&A)と他社と一緒にやる方法(合弁会社など)の二つが考えられた。既述のスロバキアは合弁でやるという方法だが、このやり方は費用を抑えられるメリットがあるが、一方自由に我々のやりたい事を反映できないというデメリットもあった。そこで自前で一から買収するという検討をしてみた。同業他社の大規模な資産を買い取るには莫大な費用がかかるため、「規模の小さい買収」の可能性を考えてみた。そういう中でポーランドの大企業の傘下の子会社が事業売却の検討をしているという話を聞いた。この傘下の会社は自動車のある部分に使われるニッチ素材をメインに生産をしており、欧州域内ではそこそこシェアを持っているメーカーだった。我々自身も日本でこの分野のマーケットを持っており、まずこの分野から欧米に出てはと考えた。また小規模な会社のM&Aなら失敗しても被害は小さいと考えた。ところがこの話を経営幹部会で提案したが一蹴されてしまった。我々の祖業はある電子部品でありこの事業を通じて世界展開をしていたが、その頃に種々の苦労をしていた。私がこの話をするとすぐにトップから「駐在員は生活できるのか?」という思いもかけない質問がきた。過去東欧では我々はチェコの首都プラハに駐在したが、それでも生活は大変だったらしい。英語は通じず、生きるためには最低限のチェコ語を覚えざるを得なかった。またイモや豆中心の食い物は合わず、日本食レストランも日本食材が買えるマーケットもなく、衣食住でかなり苦労するぞということだった。仕事以前に駐在員の環境を考えろというわけだ。

初めてポーランドの田舎に行った。英語はあまり通じなかった。

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