M&Aを考えた地域5:米国

 M&Aの一つのスタイルとして大きな費用をつかわず「ニッチな製品の生産販売から海外に出る」ことができないかという方向性を考えていた。自動車に使用される部材にはこうしたニッチな製品が数多くあり、我々も日本でこうした製品を生産して利益を出していたが、こうした製品なら海外でもそれなりの需要があり、また海外の同業の大手企業も手を出さない分野ではないかと想定した。またこういう製品は生産・販売両面でシナジー効果もあると考えた。そういう中で米国に我々の生産するニッチ商品と同じような製品を作る会社があると聞いた。この会社はシカゴの近くにあり、自動車製品を専門に生産する小規模な会社だった。果たして我々の望むような考え方はこの会社に受け入れられるのだろうかとダメ元で会いに行った。オーナーは20代半ばで起業したインド人1世で、米国に新たに勢い込んでやってきた日本人に対しては温かい印象だった。現場は我々の生産の仕方とは全く異なり、我々の生産方式が重厚長大&ハイスピードとすれば、この会社のやり方は軽薄短小&ロースピードであった。考えてみれば自動車部品メーカーはトヨタカンバン方式に代表されるように「必要な時に必要な量だけ納入する」が、我々は「多く作って費用を下げる」オールドエコノミーを代表するような作り方であった。最終的にはこの会社を買収するのではなく、販売上我々がなかなか入れない米国マーケットに入るための一つの突破口としてしばらくお付き合いを続けた。しかし最終的に米国についてはかつてBig3と呼ばれた米国の大会社を買収することで海外拠点の設立を完了した。

アメリカは「いちげんさん」を断らない。(^ー^)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA