ジョーン・バエズ「ドナドナ」
ギターを覚えたての頃、何かのフォークソングのレコードでジョーン・バエズという女性が歌うドナドナという歌を聞いた。ジョーン・バエズの歌声は透き通るように美しくまたレコードで見るジョーン・バエズは美人だった。何となく子供心にこんなお姉さんがいたら素敵だなと思っていた。ちょうど教則本に「ドナドナのコードと間奏の弾き方」というのがあり、夢中になって弾き語りの練習をしていた。ただその時は英語の意味をほとんど理解せず、英語のような発音だけを真似てこの曲を歌っていた。ところがある時に、この曲の意味を知ることになった。歌詞は「ある晴れた昼下がり仔牛が市場に売られていく。仔牛たちは悲しそうな目をしていた」という特に普通の歌詞のように見えるが、実際の歌詞の意味は「仔牛」とは黒人のことで、過去の奴隷売買やその後まだ続いていた人種差別に対する風刺した歌詞であるとのことだった。実際米国は私が60代で駐在をした2020年代にはほとんど感じられなかったが、私が初めて訪れた20代の頃の1980年代にはまだ色濃くその名残が残っていた。米国にとってアフリカ系人身売買はその後いくつもの国を揺るがす事件を発生させた。人種差別を止める止めないで国を2分した南北戦争から国づくりがスタートしたアメリカ合衆国では、その後黒人の人権向上の運動をしたキング牧師の暗殺、暴力に訴えるマルコムXのような黒人のリーダーの台頭そして南部を中心とした白人至上主義を唱えるKK団の設立など問題が絶えることがないように見える。最近になっても「Black Lives Matter」(黒人の命は尊い運動)のような運動が依然続いている。

子供の頃憧れたジョーンバエズさん、声もルックスも素敵だった