映画「パッチギ」

 パッチギという映画を見て私の青春時代を何となく思い出した。この映画は原作が松山猛という人であり、この人は「イムジン河」という北朝鮮の曲を日本語版に翻訳した人である。この曲はその後フォーククルセダーズというフォークソングのバンドが取り上げてレコード化したが、ちょうど朝鮮戦争で分離したばかりの韓国と北朝鮮の政治的な問題を取り上げているとの理由から放送禁止をくらったことでも有名である。この曲は松山猛が高校生の頃朝鮮高校の女子高生にほれて、銀閣寺にあった朝鮮高校に会いに行った際に、美しい「イムジン河」のメロディーを聞いて日本語歌詞を付けたとされている。パッチギというのは朝鮮語で頭突きを意味しており、映画の中でも日本人の愚連隊と喧嘩をする朝鮮高校の学生が中心となっている。当時も今もかもしれないが、朝高(朝鮮高校、我々はチョンコウと呼んでいた)の生徒はガラが悪く日本人の高校生はお金を取られたりしていた。そんな背景から「日本と朝鮮」という人種差別的な確執があった。元々日本のフォークソングはこうした政治的な問題に対する強い反感を持ったメッセージが多く見られる。それは米国のフォークシンガーたちがベトナム戦争への反発や政治や国から目を背けて現実逃避に走った麻薬漬けの若者の生き方などを歌ったことなどが日本のフォークシンガーにも影響していると思われる。監督の井筒和幸は私より4才上で、京都の当時の風景をCG合成でうまく表現しているのも懐かしさを感じる。今はこうした人種差別的な話も減ってきたのかもしれないが、京都の黒歴史を放送禁止になった曲で表現した良い映画だと思った。

かつて発禁をくらった「イムジン河」の美しいメロディーが聞ける映画パッチギ

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