ブルースと同じ感覚の音頭
ブルースは同じ節と同じコード進行を延々と繰り返す構成の歌であるが、日本にもこれに近い音楽がある。それは音頭である。近畿放送が開催していたラジオの公開生放送で私が初めてブルースを聞いた時の印象は鮮烈なものだった。なんやこの心を震わせる節回しは?というものだった。その後お祭りの盆踊りの際に歌われる音頭もそういうものだと感じるようになった。有名な河内音頭鉄砲節は「えーさては一座の皆様へ、ちょいと出ましたわたくしはお見かけ通りの若輩でヨーホーホーイホイ」と続き、参加する皆が「ハア、エンヤコラセードッコイショ」という合いの手を入れて盛り上がる。そしてこうした節回しの歌詞が10数番まであってようやく曲が終わる頃には盆踊りを踊るお客さんはふらふらになって祭を満喫することになる。またこの有名な河内音頭の元になったと言われるものに、滋賀県の江州音頭がある。これも似たような歌詞で、歌手「こりゃどっこいしょ」~合いの手「しっかりせえ」~歌手「皆さま頼みます」というやり取りから始まる。そして河内音頭の「えにゃこらせー」に相当する部分は「そりゃ、よいとよいやまっかどっこいさあのせ」というようになる。ともかくブルースも音頭も同じ節回しを延々と歌うのが音楽に酔いしれる方法のようである。そうやって考えるとゴスペル教会で演奏が始まると、同じ節回しが続き、ついには信者たちは音楽に酔いしれて踊りまくるようになるのもうなずける。黒人音楽にはこの種の独特のノリがある。あのJames Brownの「Sex Machine」も延々と「Get up(Get on up)」という節が続く。そしてSexのようにエクスタシーか?

同じ節回しに乗って延々と踊る盆踊りはまさにアジアのブルースかゴスペルか?