仕事は段取り

 若い頃は無鉄砲で何かやってみたいと思うと、ともかく何でも良いからまずやってみてから次を考えようという面があった。ところが50代前半になって上司からそのやり方に対して厳しい指導を受けることになった。確かに若いうちなら思い付きで何かを始めるのも仕方ない面はあるだろう。しかし一応その道数十年のプロとしては、やってみる前にそのやり方のある程度の顛末や必要とする人・物・金を予測してから始めなければいけないという事だった。上司には厳しく指導を受けたが、中でも十分な準備をすることについて、あらゆる方向から指導を受けた。例えばおおまかな筋書きを立てているか、人を説得するだけの根拠を準備しているか、材料や製法について十分な周辺知識が備わっているか、等々細かく指導を受けた。また私は昔からチームと徒党を組んでやっていくということが好きだったが、その点についても問題点を指摘された。何かを始める場合、私はまずチームメンバーを決める。そして作戦の大きな部分に、チャージされたメンバーがキーポイントになる問題に対して「きっと解決してくれるだろう」という期待を持っていた。ところがこの方法は個々人の成果への期待が大きすぎて成功に対する保証は全くされていないものだった。そして何より問題だったのは、私の作戦が「誰かがやってくれるだろう」という他力本願であって、「私がリーダーとして筋書きや小作戦を指導しながらやっていく」という自力での作戦ではなかったという点である。私は上位の立場にあぐらをかくだけである事を厳しく指摘された。結果的にはこの時期私は自分の根本的な弱さを学ぶことで後年随分強くなれた。

プロは仕事の段取りを決めるもの

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