昔の企業人を背負う
40年勤めた会社を退職してから数ヶ月して新たな会社でアルバイト社員として働き始めた。しかし長年前の会社で培った会社員としての行動の美学はなかなか変わるものではなかった。例えば新しい会社ではアルバイト社員は出勤簿の打ち込みは勤務開始1分前と決められていたが、私はどうしても早めに会社へ行って色々な準備をしておきたいタイプだったので、勤務20~30分前には会社の駐車場に着いていた。しかしセキュリティーの関係で、セコムのガードを解除するような権利を与えられていなかったので正社員や古参のアルバイト社員の到着を待って一緒に入るしかなかった。そんなことから前の会社で行っていた安全体操などを行い、正社員の到着を待つようにした。また前の会社では、きりが良い所まで仕事をしてから帰るというのが不文律となっていたが、新しい会社に入社しても中途半端で仕事を切り上げて帰るというのが苦手で、ある程度きりが良い所まで終わってから帰るために多少残業が増えることもあった。そしてあまり残業が長くなりそうな時は、一旦退勤の入力をして仕事を完了した形にしてから再度仕事を行うこともあった。ある時そうした姿を先輩アルバイト社員に見つかってしまった。先輩アルバイト社員は半ばあきれ顔で「Rainさんはほんまに昔タイプの人やなあ。けどサービス残業は絶対したらあかんので早く帰って下さい」と言って黙っていてくれた。このようにある会社の常識は時として別の会社の非常識であることもあり、アルバイト社員であるからこそ、素直に会社のルールをしっかり守るべきだと思った。

令和になっても働き方は昭和人間