生産回復の儀式あれこれ

 製造会社にとって良い生産というのは利益の源であり、お客さんへの潤沢な製品供給や販売につながる。そのため特に工場の人間は日夜「安定生産」のために必死で働いていると言っても過言でない。しかし時には種々の理由でこの「安定生産」が達成できず、長い間の生産不調に悩まされることがある。初めは生産部署の部員たちであれこれと原因を考えてその対策を打つが一向に回復してこない。そして不調が続くともう少し上位の人が乗り出してきて、「高い見地から」色々意見を出しアクションを打ってみることになる。そしてそれでも治らない頃にはお客さんへの供給に支障が出るようになり、会議等で問題が大きくなる。そして毎日のように社長や担当役員から「状況は回復したのか?いつ解決するのか?」といった電話が工場長や担当部長の所へ入るようになる。私はこの毎日のようにかかってくる電話を海外でも日本でも受ける立場にあったので、この生産不調のつらさを誰よりもよく知っている人間の一人だと認識している。そしてこうした原因は必ず理屈で説明できるに決まっているが、色々アクションを打っても一向に治らないとついには神頼みをしたくなるのが人間である。そして最後はひそかに会社帰りに神社に行って「何とか生産が良くなりますように」というお参りを数週間続けたこともあった。こうした事は神仏を重んじる日本だけかと思えばそうではなく、マレーシアでは「この現場に悪魔が住んでいる」ということで夜中にイスラム式の「悪魔払い儀式」に参加した事もあった。また生産開始日にはどの国でも宗教による安全安定生産祈念儀式が行われた。

生産不調時はイスラム教式「悪魔祓い」をしてもらった

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