女性中心バンドの反響2

 工場で始めたバンドだったが、その人気は徐々に他の工場へも伝わっていった。「どうもN工場にまるで昔のキャンディーズかピンクレディーのように女の子が前で歌って踊る派手なバンドがいるらしい。まるでプロのバンドみたいだ」という噂が回るようになり、ついには他の工場よりお呼びがかかった。勿論この工場では我々は全く知られておらず、噂を聞きつけた企画担当部署のメンバーだけが知っていた。同じ会社とはいえ一度もくぐったことのない門をくぐりT工場へ出かけた。全く知らない工場ではあったが、私の立てたコンセプト?はおそらく同じ企業精神を受け継ぐこの工場でも当たるだろうという自信があった。この工場もN工場と同様、男性中心の工場でおそらく女子社員が歌って踊るなどという事は予想もつかないだろうと思った。案の上演奏が始まると客席の状況は一変した。私たちの前は工場長の挨拶~お琴の演奏といった静かなスタートだったが、私たちのバンドがその雰囲気を大きく変えた。大音量のイントロに続いて、セクシーな衣装を身にまとった女性フロントが現れると、客先のおじさんたちは初め不思議そうな目で、そのうち嬉しそうな顔をしてステージを見るようになった。この表情の変化は下でサポートしてくれていたN工場のメンバーが皆見ていたようだ。そしてそのうち最前列に座っていた一人のおじさんが椅子からずり落ちながら台上の女性陣を見始めた。下からパンツを覗き見しようとしたのだろう。しかしそこは想定内だった。女性陣のスカートは黒のブルーマーで縫い付け中が見えないよう指示していた。セクハラ対応までするリーダーだった。

派手派手系のバンドは他工場でもお呼びがかかった

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