仕事において自分が得意だったこと
私の40年近いサラリーマン時代は一口に言えば「自分の弱い部分を補いながら、自分の強みを生かす」が私の処世術だった。自分弱い所を挙げれば数限りなくあるが、強い部分は指で数えられるぐらいしかなかった。例えば私は人との対人関係を比較的うまく治められると人から言われていた。しかしそれは外から見た印象で、本人は結構苦労して人間関係に対処していた。ただ同僚や部下の話を聞くと、私よりもっとこじれて苦労している人が多いとも思った。私は製造会社の技術関係の部署に技術者として配属されたが、上司からは「大勢の人間を統率することが上手だ」という評価をもらっていた。実際現場で起こっている種々の技術にからむ問題を解決するよりも、職場で溜まっている何とも言えないどろどろした精神的な問題の原因を見つけて違う角度からそうした問題を解決する提案をするのが好きだった。25才で入社して30才頃には当時問題となっていた「若者が入社早期で会社を辞める問題」を考えるリーダーとして抜擢されたこともあったし、「現場のブルーカラーの職場環境改善」のリーダーをやらされたこともあった。本来こういう仕事は事務関係の社員が担当するのが普通だが、何故か私が重宝されることになった。また担当ビジネスのトップになった頃、直属の部下から「Rainさんは技術系というよりは文科系の才能がありますね」と変な褒められ方をしたこともあった。しかし一方では50代に技術に関する突っ込みが足りないことを上司から厳しく指摘され困ったこともあった。ただ何にしろ「弱い部分を隠して強い部分で戦う」しかなかった。

弱みを隠して仕事をしていた