仕事において自分が苦手だったこと
私の長所でもあり、短所でもあった点は「自分でできない事はうまくできる人を探してその人にやってもらうようにする」という性格にあった。仕事がうまくいくように、日頃から自分の回りの人間を注意深く観察して、個々人の特性をしっかり把握するようにしていた。おかげで種々の自分に降りかかる問題の多くを他人の助けによって解決することができた。若い頃の私はこうした参謀や知恵袋のネットワークを持っており、色々な異なる意見を吸収することができた。しかし逆に言えば、「自分で問題解決することを避けて他人に依存した面があった」ということにもなる。つまり若い頃の私は「他力本願」で物事を解決する傾向にあったということである。勿論仕事は皆で一緒にやっていくものであり、自分ができない事は他人を頼るというのはおかしいことではないかもしれない。しかし後年になって、経営者の立場を拝命する頃になって、この考え方は問題が多いことに気がつくようになった。経営者は自分で考えるものである。そして行く道を決めて進まねばならない。大半の問題は自分で決められるが、ある複雑な問題については自分で決めにくい場合もある。しかし最後は悶絶して自分が決めないといけなくなる。そして自分で決めた事は、決めた経緯も理由も今後についてもそれなりに自分の言葉で説明ができる。ところが若い頃のように困ったら他人を頼るようにしていては最後まで問題に対して自分が責任を持つことができなくなる。これは会社員の晩年直属上司からも指摘された。それから少し私は成長したのだろうか?「自分の頭で考える」ようにしていると思っているが・・。

他力本願→自分で考えなくなる?