物事を単純化して考えてみる

 会社員晩年、「初級経営者」としてあるビジネスユニットの部門長を拝命した。気がついたら自分の上に相談する人もおらず、自分の判断で降りかかってくる経営問題に対処する必要がでてきた。その頃にはそれなりに場数を踏んできた私だが、次から次へと降りかかってくる問題に対する答えに対する教科書はなかった。右に行くにも左に行くにもそれなりの理由らしきものとリスクがあった。答えは大体二者択一で、2つぐらいの選択肢から選ぶことになる。その時の選択の仕方で大いに参考になったことがあった。これは当時会長のMさんの言葉だった。たしか「物事の判断をする場合、おうおうにして目の前の細かい事に捉われて判断する場合が多い。しかし決めるべき視点は宇宙のかなたから見てどうなのか?とか、会社の大方針から見て行くべき道なのかどうか?だ」といったような内容だったと記憶している。物事をジャッジする場合にまず他部署や部下からは、目の前の細かい事に対する要望が出てくる。費用はいくら以下にすべきとか、Aのやり方だと客先から文句が出るとか、Bのやり方では現場の人の賛同を得られないとかいった類の苦情が山のように来る。しかしこうした苦情を重んじた判断は必ずしも正しい判断ではない場合がある。むしろ大事な事は「会社がかならず進むはずの大きい流れ」に乗って行う判断には道中多少揉め事があっても必ず良い結果を生むと信じるということだった。勿論その判断は大義があるのだが、発生する揉め事をどうするのかという批判は続く。その時には「すまんけど俺が決めた。この方向をやれるようにしてくれ」と言って前を向いて進まねばならない。

物事を大局的に判断することで乗り切った

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