石畳の欧州と昔の日本
欧州の景色がとても美しくまた落ち着いて見える理由の一つは、欧州の街並みに石畳の道が多いことが挙げられるのではないだろうか?私は欧州では少なくとも10ヶ国ぐらいを訪ねたが、どの国でも石畳の道と石畳の広場を見ることができた。そして石畳の広場には必ずお洒落なカフェがあった。初めのうちはこの光景が珍しく写真ばかり取っていたが、そのうち同じような景色に慣れてしまった。この石畳は数100年以上前から作られたものが多く、馬車や乗り物を使って旅行する人々の通行をスムーズにさせていたと思われる。一方これを見て、日本は随分違うと思ってしまった。私が生まれた昭和30年代前半の日本というのは戦争に敗北してわずか10年ほどしか経っておらず、まだまだ近代国家の様相は呈していなかった。私の家のまわりは田んぼに囲まれ、歩く道もほとんどが砂利道ばかりだった。今でこそ道を歩いて泥水のはねで洋服が汚れるということもなくなったが、当時の砂利道はでこぼこが酷く、でこぼこをよけながら歩いていた。また砂利道を車が通るとタイヤが道のでこぼこにはまり、大きなはねをかぶることもよくあった。そしてその後日本は高度経済成長に入り、少しずつ社会インフラの整備が進む中で、ほとんどの砂利道は舗装され、きれいな道に変わっていった。欧州ではこうした舗装の代わりに石畳の道がどんどん増やされていったのだろう。そういう意味でアメリカの都市にも石畳の広場などがあるにはあるが、何となく無理やり作った街という感じがして欧州の街並みのような重みが感じられない。これが歴史数百年の国と数千年の国との違いであろうか?

欧州の街並みはどこでも石畳