レディーファーストに戸惑った欧米駐在時代

 欧米社会の中で日本人は色々な習慣に迷うことが多いが、中でも「レディーファースト」の習慣は簡単に身につかない。申し訳ない話だが、我々日本人の中には大昔の男尊女卑の文化が少なからず残っていて、どちらというと男は前面に立って行動するものであり、女性は控えめに男性の後ろからついていくというのが美徳とされている面を感じる。この傾向は欧米社会でもほんの50年前ぐらいまではそうであったようで、政治家や起業家など目立つポジションに女性が進出するようになったのも欧米は日本より数10年から50年程度早いだけである。しかしながらいわゆるレディーファーストの仕草は大昔から伝統的に欧米社会で培われてきたように思う。例えば夫婦で車に乗る際に、旦那さんは助手席の扉を開いて奥さんを乗せてあげ、それから運転席に回り車に乗り込むというのが一般的だ。日本で奥さんの為に助手席の扉を開けて上げるというのは少数派ではないかと思う。またビルに入る際に扉を開けて女性が扉を触らずに入ることができるようにするというのも日本人にとっては大変難しい。やってみたらわかるが、どちらの手で扉のノブを持ったら良いのか、扉に対してどのように自分の立ち位置を置けば良いのかなど、日本人にはぱっと頭に浮かばない所がある。それでも郷に入らば郷に従えで、夫婦同伴のパーティーなどでは努めてレディーファーストの仕草を真似て、「欧米人ぽく」行動するように心がけた。ところが日本へ帰任して2年ほどして会社の同僚と街を歩いていた時、女性社員に対してレディーファーストのポーズを自然に行った。女性社員からはいたく感激されてしまったが。

日本人はレディーファーストは下手くそ

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