弾き方で自分が遅れていると感じた時
楽器をやっていると必ず新しい演奏テクニックというものが誕生する。早弾きのスピードはどんどん速くなるし、ギターの音色も種々のエフェクターのおかげでどんどん変化していった。そういう演奏を見たり聞いたりすると、確かにすごいとは思うが多分練習すれば何とかやれるという気がした。ところがある時期から全く手が出ない演奏と言うものの存在を知るようになった。一つはチョッパーという奏法だった。これは主にベースで使われる奏法だが、弦を親指で叩きその後に人差し指や中指を使って高音弦をひっかけて弾くような弾き方だった。奏者を見るとただ親指を上げたり下げたりしているだけのように見えるが、その合間に「ベリッ」という独特の破裂音が聞こえるのだ。どうやらこの音は高音弦を指に引っかける際に出るらしいというまではわかったが、いざ演奏者のように連続してリズミカルに破裂音を出そうと思うと全くできなかった。そのうちに「俺にはこういう演奏はいらん」と居直って止めてしまうことになった。またギター奏法ではバン・ヘイレンという人が弾いていたいわゆる「ライトハンド」にびっくりした。普通ギターでは右手は弦を弾くのに使われ、左手でギターの指板を押さえるというのが常識だが、この人は何故か右手も指板を押さえて演奏していた。何故左手だけではなく右手までも押さえるのが必要なのかよくわからなかったが、その独特のフレーズの音色を出すにはそうした変な?指使いが必要なのだろうと漠然と思った。今はYouTubeなどでこうした演奏方法は誰も真似できるが、30年前に独力で挑戦する気力は私には無かった。

ライトハンド奏法には驚いた