産業博物館
海外から帰ってきてからやや仕事のボリュームが減り、次のステップに向かって何か面白いものを見つけようと近隣の他府県を見て回るようになった。その中でも産業博物館というのは会社員を長らく続けてきた私にとって大変興味深いものを多く展示している建物だった。元々前の会社でも博物館的な建物はあった。会社が創業して以来の製品群を展示してあり、時代時代の世の中の需要に対して会社がどのような製品供給の対応をしてきたのかがよくわかるようになっていた。また技術の会社であったのである製品の開発に対してどうのような智恵を使って大量生産までこぎつけたかを謙虚にしかし堂々と説明されていた。まさに時代の中で生きてきた各担当者の自負というものを感じさせるものだった。私が訪れて良かったものを数社挙げる。一つは大阪の守口市にある松下記念館だった。言わずと知れた松下幸之助が創業した松下電器~ナショナル~パナソニックの歴史を展示したものだった。このなかでは私が子供の頃に見たいくつもの初期の白物家電が懐かしかったし、今の時代すっかり薄型になってしまったブラウン管タイプのテレビの変化の様も面白かった。日本の高度経済成長をささえたエレクトロニクスの繁栄と退潮を感じられた。もう一つは名古屋駅から15分ほど歩いた「豊田産業博物館」だ。トヨタは戦後の不況時に会社倒産の危機に見舞われた後、祖業である自動織機から「次の時代の産物」として自動車製造に製品変遷をおこなってきたが、その苦悩の歴史を楽しんで見学ができる。同じ企業人として時代に翻弄されながらしたたかに生きる企業人の歴史を見るのが楽しかった。

守口市にあるパナソニックの松下記念館