アメリカ人になった娘
私の娘は静岡市の英会話教室に通っていたが、その教室のアメリカ人の先生と仲良くなって結婚し今はアメリカ南部に住んでいる。ところがアメリカに住むなり旦那さんが大病に冒され、約1年間ほとんど一人でアパートに住んでいた。しかも彼女は車の運転もできず、朝夕に歩いて30分ほどかかるスーパーマーケットに買い物に行く以外は家に3匹の猫と一緒に引きこもっていた。幸いその時期に私の米国駐在が重なり月に数回は彼女の気分晴らしに食事や買い物に付き合ってあげることができた。しかし私もそう頻繁に彼女のアパートへも行けず、彼女自身は随分憂鬱な暮らしを送っていたものと思う。しかしそのうち何とか旦那さんが大病から奇跡の復活?(と言ってもよいぐらい大変な病気だった。お医者さんに感謝するしかない)をしてからはこのままではいけないとアメリカでアルバイトを始め、そしてそのうち運転の必要性を感じ自動車免許を取るようになった。そして今は高速道路をグーグルマップを見ながら運転するのが当たり前にできるようになった。この時点で彼女はアメリカ人として最低限の資格?を得たと思った。アメリカ人として「働く」ことと、「運転」して移動できるという二つの資格だ。しかしここまでは私のような腰掛で働く駐在員でも普通にできたことだ。彼女は最初アルバイトとしてその他大勢の有色人種が働ける立場しか得ていなかったが、ある時から「正社員」として働き始めた。そしてその会社の倉庫でフォークリフトを運転してドヤ顔をしている写真を送ってくれた。ようやく独り立ちして生きていくアメリカ人になれたことを嬉しく思った。

米国の会社でフォークリフトをドヤ顔で運転する娘