中国戦勝記念日に出張
ある時中国への出張に行くことになった。目的は私の担当するビジネスで使う主要原材料の多くを中国から輸出しており、この原料がしっかりした管理をして作られているのか、供給に不安はないのかなどを調べるためだった。原材料の主要原産地は福建省と内蒙古自治区の2か所だった。すでに福建省は以前に視察を終えており、今回は内蒙古自治区へ行くことになった。マレーシアから飛行機を乗り継ぎ北京で日本から来たメンバーと合流した後、フフホト空港に到着した頃には夕方になっていた。内蒙古自治区とは言ってもあまり中国内地の都市と大きく景観は変わらないように思った。そして夕食は中国の「熱烈歓迎」方式の盛大なおもてなしを受けた。モンゴルの名物は羊の肉だそうで、大量の羊肉を前にして白酒で何度も乾杯する儀式に付き合わされた。結構飲んで半ば酔っぱらってホテルの部屋へ戻った。翌日は早いのでさっさと風呂に入って寝ることにした。そしてテレビをつけると異様な場面を目にすることになった。通常中国のテレビ番組は色々なプログラムが用意されているが、その日はどのチャンネルを見ても戦争のシーンばかりをやっていた。そして画面をよくよく見ているうちに、どうやら第二次世界大戦の日本と中国の戦いを表しているようだった。その時初めて「抗日70周年戦勝記念日」だということがわかった。そうやってみると画面にはいかにも残忍そうな日の丸の軍服を着た日本軍が残虐な行為をしている様が報じられていた。それを見て、よくもこんな日に中国へ出張に来たなと思ってしまった。よく今日は飛行でも迫害されなかったものだと。

抗日戦勝記念日に中国出張してしまった