懐メロが売れる、ブルーノート

 最近CDを見に行くと、私が学生時代に見たり買ったりしたブルーノートというレーベルのレコードジャケットになった写真が目に付く。またブルーノートの名盤50選とかいったCDがバンバン売れているとのことだ。今の時代に古式ゆかしいブルーノートの演奏が売れるとはまだまだ私のようなオールドファンがいるものだと驚いてしまった。今やジャズの世界も勿論昔風なモダンジャズやスイングジャズも演奏されるが、もっとビートが効いた今風な演奏が多い。昔の生音に近い楽器本来の音よりも効果音やエフェクターをかけた合成音の演奏もよく聞かれる。そうした音楽に比べて昔のブルーノートから発せられる音楽は、言わば「懐メロ大好き」の感覚から来るものではないかと思ってしまう。例えばジョン・コルトレーンのテナーサックスは弾丸のような早いソロととろけるように甘いスローバラードの組み合わせが特徴だった。それがコルトレーンだった。アート・ブレーキ―は往年の力がなくなっても、自分のバンドであるジャズメッセンジャーズを率いてドラムソロを延々とやり続けた。年老いても自分をアピールすることを忘れないでしゃばりのミュージシャンだった。一方これを日本の歌謡曲の大御所にあてはめれば、美空ひばりは紅白歌合戦の最後のとりを何度もつとめ、そして表情豊かに涙などこぼしながら絶唱した。また三波春夫は歌の合間に得意の浪曲を入れて最後は見栄を切って見せた。こうした名人や大御所の芸というものが懐メロの良さであり、お決まりのポーズや芸というものはファンを魅了するのであろう。

懐メロジャズファンを魅了するブルーノートレーベル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA