ベースのリフで歩く

 50才ぐらいになってから散歩する癖がついた。理由は考えなければならない事がその時期から増えたので何か無心になって考えを整理する方法がないかを考えていたが、散歩をするというのが合っていたというわけだ。当時の私は風景を楽しみながら歩くというような余裕がなく、ともかく一定のペースで歩くだけに徹していた。一定のスピードで歩くと思考を安定して維持できるような気がしたからだ。そういう一定したペースで歩く際に頭の中で浮かんできたのはベースラインで、特に同じベースラインが延々と続くような曲が浮かぶことが多かった。例えば有名なベースのリフと言えば、スタンドバイミーというのがある。ベン・キングの名曲でその曲名と同じ映画で有名になった曲だ。この曲では曲の開始からウッドベースの渋い音で同じベースのリフが繰り返され、数小節目から「When the night」と歌が入る。ベースをやる人なら皆がやりたいと思えるこの曲だが、歩くにはもってこいの曲だ。それから「明日があるさ」という曲も同じベースラインが入り、歩くのに合わせやすい曲だ。この曲はベースとは言っても、電気ベースやウッドベースといった弦楽器のベースではなく、チューバ(多分)のような管楽器のベース音で曲が構成されている。そしてこうした音楽が頭の中で流れながら、数10分歩いて家に帰ってくる頃には困っていた問題をどう解決していくかの方向性が見えたという経験を何度かした。そうやって考えてみると、私は本質的に単調に何度も何度も繰り返すバックグラウンドミュージックが好きなのだろう。ブルースも河内音頭も心を休めているのかもしれない。

延々と続くベースリフがお馴染みの映画主題歌のStand by me

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