学生時代に聞いた笠井紀美子さん

 学生時代にジャズを聴くようになり、ジャズ喫茶に日参するような日々を続けていたが、その頃に聴いた日本人の女性ジャズボーカルの中で唯一どんな気分で聞いても素晴らしかったのが笠井紀美子だった。京都の聖護院の近くにある「YAMATOYA」というジャズ喫茶でコーヒーを飲んでいたら、当時の揺れる?私の心にぴったりくる物憂げな女性ボーカルが聞こえたのでレコードを確かめると日本人歌手で笠井紀美子さんとのことだった。すぐにレコード屋さんでそのレコードを買った。学生時代私はレコードをかけながら勉強をすることが多かったが、特に気分がハイになった時、この笠井紀美子の「What’s new?」というレコードを聞いた。その後私は色々なミュージシャンを幅広く聞くようになったが、何故かこの笠井紀美子には深入りすることなく結局レコードもこの一枚しか買わずにいた。ところがその後何かのテレビ番組でカリフォルニアに在住する上品な日本人奥様として笠井紀美子を再度見ることになった。その笑顔にはかつての物憂げな雰囲気など一つもなかった。彼女は2000年代にはすでにジャズ歌手をやめて宝飾デザイナーとして米国で暮らしているとの事だった。彼女がジャズシンガーとして活躍したのは1960年代から1998年までだった。そしてジャズシンガーとして米国で活躍する中で、モダンジャズからフュージョンへと移っていったようである。そしてその後R&Bのプロ歌手だった米国人の旦那さんと結婚したとの事。あのレコードで聞いたアンニュイな歌とテレビで見た健康的な笑顔と比べてこの人はどんな変化にとんだ人生を歩んだのかと思ってしまった。

学生時代ジャズ喫茶で聴く笠井紀美子さんの声にしびれた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA