ガンホーという映画

 昔Gung ho(ガンホー)という映画を見た。ガンホーとは軍隊用語のようで、忠誠を尽くしますといった意味らしい。映画の内容は日本の会社に買収された米国の会社が厳しい日本の親会社の要求に対して何とか対応しようと努力する姿を面白おかしく描いたものだった。ちょうどバブル絶頂期日本企業は世界の頂点に立っていた。ちょうどそのような時代背景の中で米国と日本では全く違う企業文化を持ち、お互いが違う文化の中で少しずつ協調していく様が面白かった。米国人から見ると、当時の日本企業に働く社員は家庭を犠牲にしてでもひたすら会社の為に忠誠を尽くしている半ばクレージーな人種に写っていただろう。また社員教育ではスパルタ教育でしごかれる様が強調されていたが、まるで軍隊のような組織に対して少なからず米国人はとまどったものと思われる。また会社方針を大声で復唱するサラリーマンや全員が画一された作業服を着てラジオ体操する日本人が画面一杯に描かれていたが、会社に個人の自由を奪われたかのような管理のされ方はおそらく米国人には我慢できなかったのだろう。この映画を私は技術援助契約で1980年代の後半に行った米国のホテルの部屋で見た。翌日現地のアメリカ人から本当に日本の会社はあんな風なのかと聞かれてどう答えて良いものかと思った。そしてその後30年近く経って私は本当に会社買収に伴い米国で駐在することになった。同じ作業服で皆が仕事をすることやラジオ体操を流して一緒に安全体操をすることこそなかったが、お互いに溝が埋まらない精神的な苦痛にさいなまれながら仕事をせざるを得なかった。

企業買収による企業文化の確立の難しさを描いた映画、ガンホー

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