初めて買ったレコード:「男の世界」

 私が初めて買ったレコードは「男の世界」というレコードだった。これはテレビのたしかマンダムという男性化粧品のCMソングに使われていた曲で、画像には当時男っぽい男性の代表であったチャールズ・ブロンソンが出ていた。ところが初めてレコードを買うという段になって、レコードたるものはどこで買ったら良いかわからなかった。そこで街の歌謡曲テープなんかを売っている店に飛び込んだ。「あのすみません。男の世界というレコードはありませんか?」残念ながらその店はいわゆる洋楽を扱っていない店だったようで、うまく見つけることができなかった。どうも店の人は「男の世界」という題名からやくざ映画のタイトルをイメージし、やくざ映画曲集を探してくれていたようだった。これはどうもおかしいと思い、京都で一番大きなレコード店である十字屋へ入ったら、「今週のヒットチャート1位」にこの「男の世界」がランクインしていた。こうして私は生まれて初めてレコードの買い方を覚え、一般人と同様ヒットチャートをしばらく追いかけることになった。ところであのチャールズ・ブロンソンはそのあたりからぴたっと映画に出なくなった。彼は1921年生まれで私が中高生の頃はすでに50才前後でほぼ役者としてのピークを越えようとしていたのかもしれない。今の50才ならまだまだいけると思うが、50年前の50才はもうおじいちゃんだったかもしれない。それでもスパイや悪党と戦う彼は男っぽくかっこ良かったし、口ひげを生やした顔で彼が「うーん、マンダム」というCMを見て、多くの日本の大人もチャールズ・ブロンソンのようになりたいと思ったことだろう。

男性化粧品マンダムのコマーシャルソング「男の世界」

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