大学祭でジャズ喫茶を開いた3

 大学祭でジャズ喫茶を開いたが、客はそこそこ集まっていた。喫茶店のうたい文句は「ライブ演奏が聞けるジャズ喫茶」だったので、たまにはライブ演奏をしないといけない。ところがメインのバンドメンバーは仕事があり決まった時間にしか大学へ来てくれなかった。また頼みの楽器店の先輩であるIさんもそうそう喫茶店にいてくれない。したがって一日の開店時間のうち半分以上の時間帯はバンド関係者は私一人だった。しかしその間にもお客さんが来て、「バンド演奏はあるんですか?」と聞いていく。仕方なくここは私がとやったことのない「ソロ演奏」をやることにした。実は当時私はジョー・パスという滅茶苦茶うまいジャズギターリストのレコードをよく聞いていた。彼は七色のジャズコードを使って縦横無尽に指板上でジャズを演奏した。勿論こんな真似など全くできない私だが、何故かその時は若気の至りというのか火事場の底力というのか特別の気分になり、えーい一発ソロ演奏をやってやろうと思った。そしてやる曲は1パターンのブルースコードを少しジャズ風にアレンジしたコードに変えてやり出した。勿論初めてやる事だし、リズムも何も決まっていないし、さらには客も私が何を演奏しているのか皆目見当がついていない(はずだ)ということから客がわからん曲を少し知っているブルースフィーリングと覚えたての指使いで淡々と演奏した。そのうち調子が出てきて一つの曲を15分ぐらいかけて演奏して終わった。意外にも演奏が終わるとまともな(多分)拍手が来た。こうして似非ソロジャズギタリストはその日その日をを乗り切った。

大学祭でのライブは無謀にも私のソロギターが中心だった

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