マレーシア工場のトップは昔の中国人部下

 私がマレーシアを離れたのは2016年の夏だった。その時のローカルのNo.1はマレー系の人だった。立場は取締役ダイレクターだった。私ともう一人の日本人ダイレクターに次ぐポジションだった。マレーシアという国は人口比率でマレー系が60%、中華系が30%、そしてインド系が10%という構成になっていた。中華系は主に経済分野が強く、金融や経理部門や物流を牛耳っていた。インド系はタクシー運転手などやや低位の仕事に就いている人が多かった。一方マレー系の人たちは人口割合から組織の中心となる政治や管理部門のボスを占める場合が多く、私のいた会社でもトップはマレー系でかつ家柄が良い人がなっていた。いわゆる国のブミプトラ政策を人事で適用していた。確かに彼は温厚で、学歴も日本の岡山大学を卒業して日本語もペラペラだった。しかし優しい性格が故に人種間のもめ事が起こると日本人が間に立って処理しないといけない事もあった。そんな中、彼は中華系のNo.2を連れてきた。正直な所このあたりの人事は主流マレー系メンバーが何か文句を言わないかという不安もあったが、こうしてNo.2に中華系のメンバーを置くことが人事の融和を図るものになるという彼の意見を尊重しこの人事を遂行した。ところが最近になって私が昔抜擢したマレー系の人が会社を離れ、後釜にその中華系の彼が昇進したと聞いた。彼は私のいた時代からマレー系ボスと同様温和でありながらうまく組織を盛り立て業績の向上に貢献してくれた。いつまでも伝統的な考えにしがみつくべきでないのだろうが、マイノリティーの彼のがんばりを密かに祈念した。

現在マレーシア工場は中華系マレー人がトップ

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