円山音楽堂の思い出
私が学生時代に音楽に傾注していた頃「野外音楽堂」と言えば2つしか知らなかった。一つは我が故郷京都にある円山音楽堂であり、もう一つは少々レベルが高い?東京の日比谷音楽堂であった。日比谷音楽堂は今でもさかんにイベントが行われているが、当時はこの二つの音楽堂は「ライブの聖地」として有名であった。円山音楽堂では色々な思い出があるが、やはり京都のライブハウスで演奏しているような当時の有名バンドがこの時とばかりに一堂に会しイベントに参加していた。当時はフォークソングの全盛期で種々のフォークバンドがステージを華やかにしていた。また出始めた和製ブルースもイベントを組み、〇〇ブルースバンドフェスティバルといった催しが行われたのを覚えている。時には大物の海外タレントもやってきた。この円山で特別な思い出と言えば、「無料で音楽バンドの演奏が聞けた」ということだった。野外音楽堂というのは名前の通り、屋内の音楽堂と違い演奏が聞こえる。円山音楽堂は有名な八坂神社の横に位置しており、八坂神社を見物するふりをしてそこで演奏を聴けば全く演奏チャージを取られることはなかった。回りを見渡せば私と同様金のなさそうな学生が演奏聞きたさに八坂神社の境内を行ったり来たりしているのが見られたものだ。またさらに裏技を言うと、円山音楽堂の出口には時として警備員がいないことがあった。警備員といっても音楽関係者であり、演奏が聴きたい奴ばかりだ。時々警備をすっぽかして演奏を聴きに会場へ行くような奴がいた。こんな時を狙って会場にただで入る強者もいた。昔はライブ会場というのはおおらかなものだった。

京都のライブ会場の聖地円山音楽堂