私を支えてくれた製造マン1

 私が関わってきたものづくりの現場は3つの工程に分かれていた。その中でも現場の好不調に大きく影響を与えるのが最初の工程にあたる「材料の準備工程」だった。原材料を化学反応させていく最初の工程というのは、製品の質を決める極めて重要な工程であった。この工程で良い品質の材料が生産できないと後工程で種々の不具合が発生し、歩留まり(良品率のこと)が大きく下がって原価率の高い製品ばかりができてしまう事になる。私の担当したビジネスでは準備プロセスの開発に努力してきたが、なかなか良い方法が見つからず何年もの赤字を続けていた。「良い材料に変えるかの反応方法がわかっていない」ことが問題だった。しかし答えはすぐに見つからず、長年の経験を通じて見てきた経験値のみが答えとなっていた。この準備工程は作業環境が高温の過酷な現場で作業をしなければならなかった。そしてそうした厳しい環境の中でも、正確な現場観察を行い、「正しい方向性」を見つけていくしかなかった。またそういう現場は厳しい環境が故に「信頼のできる技能を持ち、非定常状態の際も落ち着いて作業ができる」精神的にも肉体的にも強い人しか務まらない現場だった。また一方この工程の良し悪しが全体のビジネスの損益に大きく影響することから、この工程のアクションは全員の注目の的になっていた。そして結果の良し悪しに対して外部から批判が出ることも少なくなかった。準備工程を担当する人たちはそうした批判を受けながらも冷静に自分たちの観察を信じて的確なアクションを打つ必要があった。いつも私は冷静沈着に仕事するこの工程のメンバーに心の中で感謝していた。

過酷な作業環境下で冷静な判断で支えてくれたメンバーたち

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