私を支えてくれた製造マン2

 私は長らく現場で仕事をしてきたので、現場の事は人より多く知っているという自負心を持っていたが、そのくせ何か現場でものづくりに関する問題にぶち当たると本当は何もわかっていないと感じることも多かった。特に新入社員から10年くらいの間は現場経験も浅く本当に暗中模索で仕事をしてきた。そんな中私は問題にぶち当たってどうしたら良いかわからなくなると、設備を担当するあるエンジニアに相談した。彼は人間的に穏やかでどんな人も受け入れてくれ、また年齢が近かったこともあり、若い頃は時間が空けば彼の仕事場へ行ってより良い改善について語り合った。そしていずれはこの小さいビジネスを世界的な大きなビジネスにするための方策など将来の夢についても話し合った。ある時期私は若い頃若者のリーダーとしての労務的な仕事をしたことがあったが、彼はそういう労務面での仕事についても専門の設備の仕事を越えて私の支援をしてくれた時期もあった。そして私が海外で仕事をすることになると、彼は駐在員幹部として海外の色々な工場で現場の改善に力を尽くしてくれた。マレーシア時代は設備関係の責任者として新しい技術の導入や民族間でもめる組織の見直しを一緒に行った。また米国時代は頭の固い米国技術者を下手くそだが和らかな英語で説得しながら日本式やり方を理解させてくれた。結果私のビジネスの手のひらにおさまるような小さな設備から、建物全体まであらゆる設備は彼によって構築された。そういう意味で彼は私の会社人生の大部分で深く関わった人だった。そして私が目指したものを「形にしてくれた」私の片腕だった。

製造設備面から私を支えてくれた

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