私を支えてくれた製造マン3
私が会社に入社した頃は、現場は旧態依然とした現場で「経験と勘」が一番の拠り所だった。上位の意見(経験)にそぐわないやり方をしようものなら即座に却下されてしまうというのが当時の雰囲気だった。そうした現場に配属されながら、私は比較的上位の意見が届かない新規分野の仕事を担当した。そしてその仕事は色々なメンバーのサポートもあって、曲りなりに一定の成果を得ることができた。その後私は上司から最も旧態依然としている工程の技術者として改善を命じられた。最初3年間は現場に入って、現場の人と同レベルの仕事ができるようになる事を目指した。現場のメンバーの信頼を得るようになると、少しずつ自分のアイデアを現場に導入しようとしたが、そこは旧態依然の職場でなかなか私の意見は取り入れられなかった。そこで私は自分が初級管理職に昇進した際に「新しい血を入れる」ことを企んだ。私が選んだのは昔から気心の知れており自分の信念を持ったエンジニアだった。彼は自分の考えを伸び伸びと発言し私に提案してきた。私の立場は新しい考え方に対して反対する「抵抗勢力」を説得することだった。その頃には私も課長に上がり、もはや表立って種々の試みに反対するメンバーは減少していた。そうなって初めて私は「自分の意見が通る職場」を構築することができるようになった。彼とともに新たなビジネスの方向性について時には喧嘩もしながら真剣に議論を行った。良かったのは私と彼は意見が異なることだった。これが自分への反省になり、彼もそうだったと思う。そして私は海外に出て彼にビジネスをバトンタッチした。私のもう一人の片腕だった。

既成概念を破る事に一緒に取り組んでくれた