尊敬する営業マン1

 私は長らくものづくりを中心にした仕事に携わってきた関係で、営業の人との関わりは少なかった。しかし立場がビジネスのトップになる頃には、ものづくりと同時に営業関係の仕事にも関与せざるを得なくなっていた。そしてそうした営業関係の仕事には常に営業マンが同行した。営業マンにも色々なタイプの人がいたが、事務的に相手とアポイントを取り会合をセッティングするだけの人から、客先のノウハウに迫るような技術的な部分まで熟知していてたり、込み入った話になった時に相手が構えるような雰囲気を感じさせないような気軽で魅力的な会話上手な営業マンまで色々な人を見てきた。私のように現場でものづくりだけをやってきた人間からすれば、こうした言葉は悪いが「人たらし」的な会話を演出できる営業マンというのは別世界にいる人のような気がして、一緒に仕事をしていて憧れを感じたりもした。しかし営業マンとしてそれよりさらに重要な役目な事があった。それは営業マンの眼力というものだった。最終的に営業マンは客先のキーマンを見つけ、その人の懐に入り込み、その人を通じて自分たちの商売をより有利になるような交渉事をお願いしていかねばならない。しかし大勢の客先の担当者の中から誰がキーマンなのかを探すのは容易ではないはずだ。晩年私がビジネスのトップに近い位置にいた頃、私を指導してくれた先輩はその能力を備えていた。ほぼその人の選択したキーマンの80%は後年我々のビジネスに大きく関与してくれる事になった。そして長い営業経験を通じて人を見る力を持つ先輩の能力にはいつも感心させられた。

営業グローバルメンバーたち

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