尊敬する営業マン2

 長らく会社で営業マンを見ていたが、彼らは工場の中で働く人とは違う特殊な人格?を持っていないといけないと感じるようになった。Nさんは私より3才程度下で、彼が入社した際には工場での研修は私が担当した覚えがある。営業マンはよく粘り腰でなければいけないと言われるが、それは客先に対してもだが彼の場合は会社内の人に対してもそうであった。それは入社当時から顕著に見られた。営業マンはある意味一匹狼で、自分の取って来た仕事を最優先にしたいものである。一方工場の人は営業マンの一人一人の受注に対応する訳にもいかず、バランスを取りながら生産計画を立てていく。若い頃のNさんの受注はどちらかというと特殊品ばかりで(工場ではゲテ物と呼んでいた。実際の所こうした特殊品は大きな受注につながらないのがほとんどだった)、作るのに多大な時間と準備が必要であった。それで窓口ではすぐには対応できないことをNさんに伝えるが、Nさんは頑として譲らず要求をしてきた。困り果てた担当者が最後に行きつくのが私であり、私もあの手この手で彼を諦めさせる努力をするが全く納得をしなかった。さらには電話を取らないという作戦を取ってもどこかから私の居場所を見つけて電話をしてきた。こうしたスッポンのようなしぶとさを若いうちに身に着けた彼は後年世界市場で大きな活躍をした。私は入社以来ある商品の製造開発をやってきたが、Nさんは結果的にそれをグローバル商品に育ててくれた人の一人であった。グローバル市場では多くの海千山千の商売人が集まるが、Nさんはしたたかにこの市場で外国人相手に無類の強さを発揮した。

外人に対して無類の強さを発揮したNさん(左端)

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