色々なフュージョン

 フュージョンというジャンルの音楽があるが、日本でこの種の音楽が始まった頃は「クロスオーバー」という呼称が使われていた。フュージョンにしろ、クロスオーバーにしろ、意味するところは「融合する」とか「かけ合わせる」というようなイメージで呼ばれていた。音楽的に見ると、この類の音楽はジャズの持つ大人であり自由でアドリブ感満載の雰囲気と、一方若者の間に熱狂的なブームを起こした8ビートのロックサウンドが混ざり合った音楽と考えるとわかり易い。まずはジャズの大御所マイルス・デイビスのような人が突然エレキギターを導入し、ロック調の音楽を演奏するようになった。当時モダンジャズ信奉者のマイルスファンからは「マイルスは狂った」などと陰口を叩く人も多かった。一方ジャズは物静かで暗いイメージを持っていたが、これをもっと明るくリズミカルにしていくような音楽も現れた。日本ではナベサダで有名な渡辺貞夫がカリプソ系やアフリカ系の明るい曲調の音楽を演奏して話題になった。たしか男性化粧品のコマーシャルに彼の「カリフォルニアシャワー」という曲が使われたのではないか?また日本人の中で国際的なジャズギタリストである渡辺香津美もこの頃にフュージョンの方向にはまっている。また子供の頃からロックに親しんだ若者の中から8ビートよりよりリズミカルな16ビートを中心とした音楽を演奏するバンドが現れた。今も現役で活躍するカシオペアはこの頃結成されている。F1レースのテーマ曲であるT-SQUERのTRUTHもこの頃に作曲された。今や市民権を得たフュージョンだが、出た頃は大人と若者で喧々諤々の議論が起こった音楽だった。

F1のテーマ曲として有名になったT-SQUAREのTRUTH

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