季節ものがある仕事
サラリーマン時代に担当していた仕事は重厚長大な設備をフル稼働してはじめて利益が出る仕事だった。設備停止は利益幅を減らすことにつながった。その為設備の償却時期は厳格に決められていたし、可能なら償却を越えて長く古い設備を使い続ける方が利益上は良かった。そういう意味で設備を止めたり、新たな設備に入れ替えるための、稼働停止は罪悪と考えていた。しかしこれは「作る側」の言い分であり、「売る側」の人から見れば売れる商品を作ってくれないと商売を伸ばすことはできないと考えていた。そういう点で私のような「作る側」の工場の人間と、「売る側」である営業の人間とは毎月の会議では喧々諤々の議論をしていた。この議論の中から大きな決断を行った。それは「電子部品のように最終ユーザーの販売動向で必要な素材がころころ変わるような分野の仕事を減らし、自動車のように最終ユーザーが望む素材の動向が大きく変化しない分野の仕事を増やしていく」というものだった。この判断により工場の生産は「設備停止を伴う大幅な品種変更する」ことなく、「お客さんが欲しい製品をできるだけ短期間でお客さんに届ける」生産方式を確立することができるようになった。こういう経験をして定年退職をした後、消費者向けの会社にアルバイトで働くようになった。この会社では消費者の要求を満たす取り組みが見られたが、私にとって最も新鮮に感じたのは「季節商品」だった。冬物と夏物の切り替え時期、店は繁忙を極める。こういう商売には簡単に商売動向を変化させられる固定費の小さいインフラでなければ続けられないと思った。

季節商品に衣替えするには固定費の小さいインフラでないと厳しい