自前でウレタン材料を作る
マレーシアでは種々の部材を世界各国から購入していた。その中であるウレタン製の部材を現地マレーシアの小さな町工場から購入していた。当初は日本からこの部材を送っていたが、地産地消の観点から現地で購入することにした。実はこの部材は我々の最終製品の品質の安定性を維持する上で大変重要な部材であった。最初は日本から輸出していた部材は数年で完全に現地製に置き換わった。この現地品は我々の最終製品の品質を満足させうまく現地化が進んだと思っていた。しかしある時このメーカーから一時的に物の納入が遅れるという事態が発生した。幸いに現地在庫がそこそこあり、かつ日本の工場からも在庫品が供給され事なきを得た。この事件を通じて我々は現地メーカーに代わって自前でこの部材を作る計画を始めた。我々がこの部材にメーカーに支払っている購入金額は数百万円で決して大きな額ではなかった。しかしこの部材が不足すると生産は止まり、かつ他社部材で置き換えることができないという現状が浮き彫りになった。結果として現地の小さなメーカーが作る数百万円の部材のために、我々のグローバル商品(数百億円/年)が左右されるのは事業として大きなリスクだと感じた。そこで最初現地メーカーに我々の工場内でウレタン製品の製造をやらないかを交渉しようと、その会社のCEOに会食のお誘いをしたが何故か全く乗って来ない。しかたなくノウハウがないままにウレタン部材の自前生産に乗り出した。技術者の中には有機化学に得意なメンバーもおり何とかこの取り組みはうまく行ったが、うまく行くまで現地メーカーにばれないかひやひやものだった。

現地購入の重要材料を自前で制作することに決めた