日本でうまくいくのにマレーシアではNG、何故?

 マレーシア工場のビジネスモデルは基本的に「日本で開発した技術をマレーシアにも展開していく」というものだった。この考えは一見非常に理路整然としているように見える。しかし現実は大きく異なっていた。日本で開発された過程で日本人同士はその技術のバックグランドをよく理解してオペレーションする際には阿吽の呼吸で進めることができる。一方マレーシアでは新しい技術が導入された場合、どういう気の使い方をしないといけないかは全く説明されないままに導入された。したがって最初日本人がデモンストレーションでオペレーションしてみた時はうまくいくのに、現地メンバーにハンドオーバー(技術を手渡しすること)した後全く立ち上がらないことがよく見られた。そのうちに現地のローカルメンバーが色々調整をするうちに、たまたまうまくいくと「現地オリジナルな調整方法」が勝手に開発され、日本で培った技術とはかけ離れたものとなってしまう事がよくあった。そして挙句の果ては「日本人が導入する新技術より今までのやり方の方がうまくいく」という誤った雰囲気が作られてしまう。こうして日本から技術を導入しに来た日本人と現地メンバーの間で何とも言えない確執のようなものが生まれてしまう。そしてそれをうまく修正するのが現地にいる駐在員の仕事であった。しかしそうした確執も徐々に企業文化が共有されまた一定の成果も出てくる頃には薄れるようになり、ようやく技術と言うものが現地に根付くようになる。しかしマレーシア人はまだ日本人を尊敬してくれるので、言うことを聞いてくれるが、これが欧米人だと説得には2~3倍時間がかかる。

海外への日本技術の移転は困難を極めた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA