学生時代の勉強は仕事に役立ったのか?
入社面接で自分のアピールポイントを問われたので、「私は大学では〇〇の研究を行いながら△△について幅広い知識を身につけてきました。こうした実験で学んだことや身につけた知識は必ず御社の技術向上のお役に立てると信じています」などといったしらじらしい話をした覚えがある。さて本当にその知識は役に立ったのだろうか?まず生産されている製品や原料についてはメーカーの命でもあり、働いている人は皆非常に深い知識を持っている。それは大学時代には聞いたこともないような話も多かった。例えば大学で実験を行う場合には、化学精製された純度の高い原料を使う。そして原料は化学式または正式な名称で呼ばれる。ところがメーカーの現場ではコストを考慮して精製された原料は使われず、ほとんどが天然原料である。天然原料には癖があってどこどこ産の原料は良いとかいうように原産地バラツキを持っている。また現場で化学式はめったに使われず、原料名は通称で呼ばれていた。このように現場の議論にはとても新入社員は太刀打ちできなかった。一方現場は経験と勘の世界だった。本来現場での結果はしっかりと検証して次のアクションへの糧としなければいけないが、昔の現場はPDCAのような手法は行われていなかった。そういう中で私は現場に行き自分の考えた検証結果を皆に説明した。何度も話をしながら、つじつまの合う結果を出す努力を積み重ねた。最初は納得しなかった現場の人も段々私の話を信用するようになった。こうしてコミュニケーションを通じて「考える現場をつくる」ことを私のモットーとした。ただ結局大学で学ばなくても良いことばかり?

学校で勉強した知識は役に立たないが考え方は役に立った