サックス奏者との共演はきつい

 すごく英語のレベルの高い人と一緒にいると英語がしゃべり辛くなるという経験をした人も多いだろう。同様にギターにおいてもすごくうまく演奏する人と共演すると少し臆して演奏が遠慮がちになる。一方ピアノなど自分と異なる楽器を他人が演奏していてもそれほどプレッシャーがかかり伸びやかに演奏できないということはなかった。ある時サックス奏者の人と共演することになった。場所は京都の北区のプールサイドのステージだった。サックスを吹く人は20年来演奏をしている人で良い音を出していた。ただアルトサックスの基音になっているB♭やGm以外のキーは苦手のようで、私は普段演奏しないキーで合わせていた。しかしさすが同じキーでやってきた人だけにソロは手慣れたかっこいいフレーズを連発していた。この迫力にギターを担当する私はだんだんと迫力負けしてしまうことになった。これは一つにはサックスの持つ独特のアピール度がギターの音を上回っていたのと、その人の次から次へとあふれ出るような独創的なフレーズにやられてしまったからだと思う。見ていた人から「なんか浮かぬ顔して演奏していたな」と言われたほどだった。その後佛教大学の学生さんとの共演で同様な経験をした。彼はテナーサックスを演奏してまだ数年のキャリアしかなかったが、元々音色的にかっこいいテナーサックスはジャズの演奏にマッチしていて、彼のそれほどでもないソロも聴衆が聞くとかっこよく見えるらしく、彼は私より多くの拍手を受けることになった。それ以後サックス奏者と演奏するのは20年後になるが、勿論私はギターでなくベースを選択した。

サックスとの共演ではギターはアピール度で負ける

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