W市の思い出

 オランダの北部にW市という街がある。特に何という観光地や特別の建物もない田舎の街だが私はある思い出があった。この街は私が住んでいた所から高速道路で東へ進みドイツに入るかという手前に位置していた。ドイツは有名なアウトバーンがあり、気分を変えてぶっ飛ばしたい時にドライブした。W市を最初に知ったのは工場で働いていたB君に連れていってもらったことからだった。彼は無類の釣り好きでオランダの淡水で釣れるあらゆる魚を釣った経験を持っていた。私が釣り好きであるのを誰かから聞いて釣りに誘ってくれた。W市は彼の生まれ故郷で、釣り場に近づくにつれ、ここには何㎝ぐらいのでかい鯉がいるとか語ってくれた。そして彼と一緒に釣りをしたのはブラウシュタットという場所で英語的にいうとBluecity(青い街)となる。このお洒落な名前の釣り場で小一時間ほど釣りをしたが、ビギナーズラックで私は1mを越えるノーザンパイクを釣り上げることになった。ほとんど彼の段取りのおかげで大物を釣ることができたようなものだが、彼は大変喜んでくれて帰りにハンバーガー屋でうまいバーガーを奢ってくれた。W市のもう一つの思い出は私が駐在中にたまに食いに行ったタイ料理屋に勤めていた女性がこのW市に移り住んでいるという情報を聞いたことだった。私が欧州から米国に駐在地を移ってから彼女に連絡を取ったところW市に移って自分のタイ料理の店を開いたとのことだった。オランダ駐在中は1ヶ月に数回は彼女の働くレストランへ食いに行ったが、なかなかの味だった。きっとW市でも名物レストランになっているのではと思った。

W市で1mオーバーの魚を釣り上げた。生涯の思い出になった。

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