同じ曲でもコードを変えると全く違う曲

 今の年代の子はいざ知らず、私の年代の人が皆知っている歌に「権兵衛さんの赤ちゃんが風引いた」という歌がある。いや正式に何という題名の曲なのかは知らないが、母親がよく歌ってくれた曲だったような気がする。この曲はまた全く違う内容の曲としても知られている。「おたまじゃくしはかえるの子」という曲だ。このように覚えやすいあるいは親しみのあるフレーズの曲は色々な歌詞で歌われている。そしてある時この曲の原曲がアメリカの曲である事を知った。原曲名は「Battle Hymn of the Republic」というもので日本では「リパブリック賛歌」と訳されている。このリパブリック賛歌はアメリカ合衆国の愛国歌であり民謡でもあるような曲である。時代は南北戦争時代に遡り、北軍の行軍曲であった。同じアメリカ人同士が南北で殺し合うという異常な事態の中で、何とか自分たちの行動を勇気づけるために作られたもののようであった。そういう背景から、この曲に使われるコードは大変情緒的なコードであり、米国で生まれたジャズやブルースが持つソウルフルなフレーズを感じてしまう。ところが日本で流行った「権兵衛さんの赤ちゃん」や「おたまじゃくしはカエルの子」の中ではこうしたソウルフルで情緒的なコード進行は取り去られ、いわゆる3コード(ドミソ、ドファラ、シレソ)だけの曲になってしまっている。だからこそ子供受けする曲としていくつも替え歌が作られたのだろう。実は私は町内会のバンドをやっている頃にこの「おたまじゃくし」が「リパブリック賛歌」である事を知り、エンディングのソウルフルな曲として演奏をした。きっと皆も知っている曲と思っただろうが・・・

バンドのエンディング曲で使った「リパブリック賛歌」

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